ガン軟部外科手術
イヌの乳腺腫瘍/乳がん
イヌ(女の子)のお腹の皮膚にできる腫瘍は、4~5対もある乳腺から発生する乳腺腫瘍の確立がとても高いです。避妊手術をしていない女の子や、生理不順がある場合、または遅くに(2歳以降)避妊手術をうけた場合などは発生率が高いですが、避妊手術を受けている女の子にも発生します。
はじめは米粒のように小さな塊ですが、小型犬の場合は10歳を超えるころから少しずつ大きくなり、15-6歳で急に大きくなる場合があります。大きさが4㎝を超えると自壊といって腫瘍の表面が避けて出血や化膿が始まることがあります。大型犬の場合にも同じようにじわじわと進みますが、小型犬よりも悪性度が高いと言われています。時に急に赤みをもって皮膚炎のように炎症を起こすこともあります。
小さいうちは腫瘍の大きさが変わらないのでそのまま様子を見る方もいますが、ご自分の体や娘さんの体に起こったことと思って考えてください。鏡を見たときにおっぱいにいびつなふくらみがあったり、しこりが触れたり、痛くただれた皮膚炎があったらそのままになさいますか?ヒトの乳がんと一緒で、早期発見は完治につながります。反対に大きくならないからといって、消えてしまうことは絶対にありません。上にも書いたように、ゆっくり過ごさせてあげたい老齢期になって急に悪化することがほとんどです。
気になるしこりがあったら「このくらいで」なんて思わず、「もう年寄りだから」ともおっしゃらずに、なるべく早くにご相談ください。手術や麻酔に耐えられるかどうかは、それまでいかに大切に育てられたかによってそれぞれ異なってきます。手術はお勧めしたいのですが、もちろんしないという選択肢も一つの方法ですので、一緒にその子が一番いい方法を考えていきましょう。